江戸小紋という名称は昭和29年重要無形文化財技術保持者認定の折、京都の小紋と区別する為に国から命名されました。
江戸の頃、定小紋(さだめこもん)として武士の裃に見られるだけの柄が、職人の手の揃ってくることで庶民のきものにも利用されるようになりました。
庶民のきものに着用されることで小紋の柄に拡がりが出てまいりました。森羅万象全てを柄に取り込んでしまう庶民の企画力は驚くばかりです。
今回はその中から卑近な柄を選んでみました。
2015年 竺仙の江戸小紋
通常、江戸小紋は単色しか使われません。
遠目には無地にみえてしまうほど精緻な柄の江戸小紋。
それだけに『色』が一番大切です。
たとえ同じ色でも染めた職人、染められた日の気候などでも一反毎に微妙な色合いが異なるといわれております。
〈墨色〉すみいろ〈梔子色〉くちなしいろ〈牡丹色〉ぼたんいろ〈鶸色〉ひわいろ〈藤鼠〉ふじねず〈香色〉こういろ〈丁子茶〉ちょうじちゃ〈海老茶〉えびちゃ〈鳩羽紫〉はとばむらさき〈利休鼠〉りきゅうねず・・・・
江戸小紋の色は反物の口の部分と柄の部分とでは色が全く違います。
口の部分の色の半分の濃さが柄の部分です。
機会がございましたら、口の地色の良さでお選びにならず、柄の色合いも御覧の上、是非、お顔映りの良い色をお選びください。
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寿の柄“鶴は千年、亀は万年”の亀の小紋
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尾形光琳の描いた菊(万寿菊)を題材にした菊小紋
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江戸の信仰から神のお使い、きつねの小紋
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