2020.06.10
美しいキモノ2020年夏号 別冊付録に掲載中です!
今年もたくさの浴衣を掲載していただきました。
中条あやみさんの表紙は 綿絽白地・・大朝顔です!
こちらでは3ページほど紹介させていただきます。
2020.06.05
竺仙ものづくり日記
「竺仙といえば万寿菊」とご指定いただく事も多く、この柄は竺仙を代表する柄のひとつです。
毎年様々な色合いで染めていますが、それぞれに趣きが異なり、多彩な表情を見せてくれる懐の深い柄です。
実は、本名は「傘菊」といいます。
菊を傘に見立て、長く職人の間では「傘菊」と呼んできました。
メディアなどで取り上げていただく際に、丸い菊に縁起の良い「万寿菊」を重ねて「竺仙の万寿菊」としてご紹介したことで、本名より有名になりました。
光琳菊といわれる一般的な万寿菊の柄もありますので紛らわしいのですが、今後も「竺仙の万寿菊」「傘菊」の魅力をより多くの方に知っていただけるよう、新しい表情を作り上げていきたいと思います。
2020.05.29
竺仙ものづくり日記
今日は月末ですので棚卸しをしました。
例年5月末の棚卸しでは社内にある在庫は少なく数えるのもあっという間に終わるのですが、今日は少し時間がかかりました。
百貨店や呉服店での催事が中止や延期になった影響で、いつもでしたらすぐに売れてしまうような珍しい反物がまだ沢山あります。
試作で染めたものの、様々な事情で泣く泣く今年の新作発表に選定できなかったものです。
色合いの再現性が無かったり生地が手に入らなかったり理由は様々ですが、せっかく素敵に染め上がったのに皆様にお目に掛けられない事がいつも残念でなりません。
せっかくですので、写真でご紹介いたします。
注染で染める場合、試作品は2反染めますので、世界で2反限りの貴重な浴衣となります。
2020.05.22
竺仙ものづくり日記
『すてきにハンドメイド6月号』(NHK出版)にて、【注染】を特集していただきました。
美しい写真と共に、浴衣を染める過程を4ページにわたって紹介してあります。
とても分かり易く丁寧に説明してありますので、是非お手に取って読んでいただけましたら幸いです。
いつも注染の説明を求められる時は四苦八苦するのですが、さすがプロは違いますね。
これからはこの特集記事を参考に、もっと上手く説明できるように頑張りたいです。
取材時に染めていた浴衣は、綿絽に染めた桔梗と撫子柄です。
清涼感のある生地感とあいまって、朗らかで爽やかな浴衣になりました。
図案を決め型紙を彫り、なんの生地にどんな色で染めようか。
浴衣を作る工程では大変悩むのですが、思い通りに染め上がった時はこの上ない喜びです。
今年の新作発表会でも人気でした。
全国の呉服店や百貨店で受注いただきましたので、これから様々な店頭でお目にかかれると思います。
2020.05.15
竺仙ものづくり日記
3月以来、マスクはありますか?と、お問い合わせやご来店下さるお客様は少なくありませんでした。
世の中でマスクの不足感も解消されつつありますが、今でも、マスクを作ってください、職人たちを支えるために協力したい、といったお声も届いています。
心から感謝申し上げます。
ようやく商品化にこぎつけました。
マスクは、浴衣の生地と手拭の生地とを合わせて作りました。
張りのある浴衣地と、織り目が荒く柔らかい手拭生地が、マスクに適していました。
また、いちばんの特徴は和裁士が縫っていることです。
和裁の技術を生かし、肌当たりの柔らかい縫製を目指しています。
生活の中に伝統技術を取り入れて、手仕事のぬくもりを身につける豊かさを感じていただけましたら幸いです。
2020.05.08
竺仙ものづくり日記
注染(ちゅうせん)は独特な型染めです。
型紙を用いる多くの型染めは、生地を板に張って固定し、型紙を動かして防染糊を付けます。
しかし注染は、固定するもの移動させるものが逆転し、型紙を木枠に固定し、生地を動かして防染糊を付けます。
型紙の長さである1m毎に、生地を左右に動かして、皺の無いように平らに置き、型継ぎの無いようにきっちりと折り返す。
その繰り返しで、12m以上ある浴衣の生地に柄を付けていきます。
伸びたり縮んだり形状が不安定である生地を、防染糊を付けながら屏風だたみにする工程は、力強さと繊細さの両方を同時に要求される、非常に高度な技術が必要です。
古より伝わる日本の型紙染の歴史の中で、型紙と生地とを逆転させたことは、明治期の大事件だと思います。
誰が考えたのでしょう。
柔軟な発想力には頭が下がります。
この技術を未来に残していけるように、伝統を支える職人たちを守れるように、明治期の先人に負けないように頑張りたいです。
2020.05.01
竺仙ものづくり日記
引き染めとは、染料を含ませた刷毛を引くように動かして生地を染める事から、そう呼ばれています。
染料で生地を染める前に、型紙を用いて生地に柄を付けることから始めます。
6m以上ある長い板に白生地を張りつけ、型紙を順に送りながら防染の為の糊を付けます。
ここで問題なのは、生地は12mですが板は6mしかありませんので、どうやって生地のすべてに糊付けしていくのか、です。
長板の片側の端は「剣先」といって、まるで刀の先のように尖っています。
板の片側に生地を張り、剣先から反対側に生地を渡らせ、もう片側にも生地を張ります。
表裏に生地を張り付けることで、生地の半分の長さの板でも、生地全体に糊付けをすることが出来るのです。
剣先といっても生地が切れてしまうほど尖っているわけではないのでご安心を。
緩やかに角度を付けて反対側へ生地を折り返し、柄を途切れなく糊付け出来るようにした工夫なのです。
剣先の部分でも柄をぴたりと合わせることは卓越した技術が必要です。
2020.04.24
竺仙ものづくり日記
今日は引染めの染工場に行ってきました。
こちらで染める紅梅小紋や奥州小紋は浴衣として誕生した商品ですが、着物として着ることが出来るので竺仙の数ある商品の中でもたいへん人気があります。
例年4月の染工場は、夏に向けて多くの反物を染め忙しい時期ですが、残念ながら今年はひっそりとしています。
こんな時には、普段やりたくても時間や余裕が無くて出来なかったことをやりましょう、という事で「注染工場で働く職人の為の引染め見学会」を開催しました。
注染でも、引染めでも、型紙を使い糊付けをして染める事には変わりないのですが、やり方は全く異なります。
竺仙の商品を作るにあたっては、様々な染め方や工程で多くの職人さんが関わっていますが、普段、自分の専門以外の現場を見る機会は中々ありませんので、皆さん熱心に質問しながら見学していました。
3密は避け、少人数での見学会でしたが、今後の技術向上に繋がる何かのヒントになったり、新しい技法が生まれるきっかけになれば良いと思います。